SATOH AKIRA
自己紹介: 生年月日: 1978年生まれ
1997.4 東北大学理学部生物学科
学友会(体育会)剣道部所属
2001.3 東北大学理学部生物学科卒業
2006.3 東北大学生命科学研究科
生命機能科学 器官創生研究室
井出研究室 にて「生命科学博士」Ph.D.取得
2006.4 University of California Irvine, Postdoc
Gardiner/Bryant lab
2007.4 同所、日本学術振興会海外特別研究員
2009.1 岡山大学 テニュアトラック 異分野融合先端研究コア
助教(特任)
2010.10 さきがけ「iPS細胞と生命機能(西川総括)」兼任
2011.4 岡山大学 テニュアトラック 異分野融合先端研究コア
准教授(特任)
2013.4 岡山大学 異分野融合先端研究コア
准教授
2024.3 岡山大学環境生命自然科学研究科・教授
特性:史上最強の愛妻家。
尻尾を持つ両生類は「有尾」両生類と言われ、イモリ・ウーパールーパーが代表的なものだと思います。これらは高い再生能力を有し、大規模損傷に対応してその失った構造を完全に再生することができます。その高い再生能力は脳、目、顎、鰓、四肢、その他もろもろの器官/臓器に観察することができます。もちろんこのような高い再生能力は人などのほとんどの「高等な」脊椎動物には観察されません。なぜ、ウーパールーパーが高い再生能を持っていて、我々高等脊椎動物は有さないのかわかっていません。分かっていないからこそ、「ウーパールーパーは特殊生物。地球外から来たんじゃない?だから再生できるんだよ」という人もいるくらいです。でも、そんなことはあり得ません。ウーパールーパーも同じカテゴリー内にいる生物です。DNAもありますし、同じような遺伝子セットを持っています。もちろん四肢の形成(発生)も非常に似たシステムです。ヒトの進化の過程で失われた能力をウーパールーパーはまだ維持していると考えるのが妥当だと思います。ヒトの再生能力を再度復活・復元できるでしょうか? これが私たちの大テーマです。
四肢の再生研究の歴史は250年にもなる長い歴史があります。見方を変えれば、250年も研究してもほとんど分かってこなかった大きな謎と言えます。その謎に挑むのに、既存の手法で挑んでは勝ち目はないと考えました。そこで、登場するのがThe Accessory Limb Model(ALM:過剰肢付加モデル)と言われる研究系です。図のウーパールーパーには「過剰肢」があるのが分かりますか?この過剰肢は①皮膚損傷 ②神経遊走 の二要素によって形成させられます。言い換えれば、たった二つの組織の関係だけで四肢再生を語れるようになったといえる訳です。このことは現代の分子生物学上非常に大きな意味を持ちます。現代の分子生物学では「単純化する」ことが解析上の非常に大きなウェートを占めるからです。とにかく、この方法が意味することは、過剰肢を作る方法が明らかになったという事です。この過剰肢を作る方法は、四肢再生における現象と同じです。ゆえに、過剰肢形成を通じて四肢の再生研究ができるという事になります。この単純化された四肢再生研究システムを持って250年にわたる大きななぞの解明を行っています。そしてその謎は今解けかかっているといえるでしょう。詳しくは、どうぞメールなどでお問い合わせください。
さて、そこで見つかった「再生惹起因子」を人に応用できれば最高ですよね?今までそういう試みはそれほどなされてきませんでした。それは、再生の謎が解けなかったことが大きな要因だといえるでしょう。言い換えれば、「何を応用してよいのかわからなかった」という事だと思います。我々の研究から、いくつかの再生惹起因子ともいえるものが明らかになりつつあります。それを再生不能動物に応用してゆく試みも同時に行っています。そこで登場するのが「マウス・ニワトリ」です。この両者を使用して再生惹起を試みています。残念ながら設備上マウスを用いた再生研究は行う事ができません。故に、共同研究として他大学と連携し、研究を行っています。いつか、両生類で得られた成果が高等脊椎動物で再現できる日を夢見ています